株式会社クレアネット
弊社代表のコラムです

【2】PC9801の時代 1988年〜1994年頃

大学卒業後の1988年、就職して出会ったのが「PC9801」というやつです。就職先は製造業の中堅会社で、事務所にスタッフ30名くらいいましたが、パソコンの数は2台、しかも数年前の旧型PC9801でした。実際に使っているのはわずか数名ですが、月末月初の事務繁忙時間は順番待ちとなる状態。入社当初の私は経理担当だったので、オフコン端末(緑色の画面に白い文字の、間違えると大声でピーっと鳴く奴)がメインマシンでしたが、せっかくパソコンがあるのだから使わない手はない。ちょうど上司殿から「省力化省人化のために事務の電算化【いまや死語ですね】をしてみろ」と言われ、事務閑散時期に「Lotus1-2-3」なる表計算ソフトと格闘していました。パソコンで何ができるのか、基礎の基礎を学んだ時期です。このとき身につけた表計算の基礎が、今もずいぶんと役に立っています。

余談ですが、当時すでに表計算ソフト「マルチプラン」を使っていた諸先輩方が、「Lotus1-2-3」に乗り換えた時期でもありました。これ以降、「Excel」というソフトが市場を席巻するまで1-2-3が私のメインツールとなりました。

当時のマシンスペックは、メモリ640kB(キロバイトです!!標準は384kB)、ハードディスクは内蔵していないものもまだ多かったのですが、会社にあったのは20MB(メガバイト!!)が入っていました。しかしこの事実を知る人は少なく・・・というかパソコン本体にディスクが入っていること自体が理解されていなかったようです。ゆえに起動はすべてフロッピーディスクで、ハードディスクはもっぱら固定資産データの格納用として使用されていました(このデータを使っていたご本人は、データがハードディスクに記録されていることを理解していませんでした、笑)。上司殿の許可(といっても説明して理解されるわけでなく一方的な報告)を得て、ハードディスクにOSをコピーして、カタカタうるさいフロッピー起動から脱出し、さらに「Lotus1-2-3」もハードディスク起動とし、起動時間短縮と操作性が(当時としては)格段に向上、何せ漢字変換もすべてフロッピーディスクにアクセスしていましたので、ずいぶんと速く動くようになったと実感しました。今では当たり前の話ですが、この件で社内提案で賞金をもらったような記憶があります。

その後、ようやくパソコンの有用性(自分が楽できるという意味で)に気づいた上司殿を説得し、PC9801の新型を増設してもらいました。メモリは8MB(標準は640kB)でハードディスク40MB程度のものですが、それまでのマシンとは別物のように速くなりました。この頃の1-2-3は「拡張メモリ」(640kBが標準メモリ、これを超える部分は拡張メモリと呼ばれていました)が使用できる設定があり、それまでは標準640kB部分をDOSと分け合っていたのが、別に5MBまでのメモリを占有できるようになっていました。これで1度に処理できるデータ量は格段に増えたのですが、今度は処理時間が追いつかなくなり、ワークシートを「自動計算」にしていると1回入力して計算終了まで30秒とか1分かかることも。あげくには、残メモリ(当時はこんな表示機能もありました)10%近くになると「メモリ不足です」と表示されてフリーズしたり。今では考えられない話ですが、ワークシートを細かく分割して、データの受渡用ファイルを作って別のファイルで処理させて・・・という面倒な(といってもマクロによる自動処理ですが)プロセスを経て大容量のデータを日々処理していました。

この頃には「システム担当」という組織表にない肩書きを社内で勝手につけられて、担当業務以外でも「コンピュータ」と名がつく事案には必ず私が引っ張り出されたり、コンピュータ関係の社外折衝やトラブル対応も私の仕事となっていました。あまりに社内でトラブルが多くなってきたので、古くて不調だったサーバは「叩けば動く」とか「暖めれば動く」などという嘘みたいな迷言を残したのもこの頃。古いマシンは基盤や配線の接触が悪くなるから軽い振動を与えるとか、冷えていると古いドライブはディスクの回転速度が上がらないから暖めて・・・といった科学的?根拠はあったのですが、説明が面倒なので簡単に伝えると、みんな忠実に実行してました。寒い日はストーブを持ち込んだり、うまく起動しないときは「バンバン」とサーバ本体を叩く音が何度も聞こえたり・・・それでちゃんと動いていたのですから不思議です。実のところはサーバ不調を上司に訴えて、「壊れれば更新する」という密約を交わしたので、どうせなら壊してしまえっと私が言ったような言わないような・・・まあこれも時効ですね。

その後、世の中に「Windows3.1」が登場、古いオフコンの更新に伴って、端末専用機の代わりとしてWindows上で動く仮想オフコン端末(エミュレータ)が導入されたため、新型PC9801がさらに増設されました。DOSから直接動くソフトばかり使っていた私は、Windowsから起動させると単に動作が重くなるだけと感じてしまい、(勝手に)環境を切り替えてDOS単独起動できるようにデュアルブートにして使っていました。気づかれないように、最初の起動はWin3.1で、ある操作をするとDOS環境になる小細工をしたような覚えがあります。

※コラムに登場する商品名は、メーカー各社の登録商標です。

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